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化学物質過敏症の障害年金申請

1.化学物質過敏症とは

化学物質過敏症(Multiple Chemical :MC)・多種化学物質過敏状態(Multiple Chemical Sensitivity:MCS)は、ごくわずかな化学物質に接触しただけで、頭痛やめまい、倦怠感など全身に多彩な症状を引き起こす後天性の疾患です。近年は柔軟剤や芳香剤などの香料が原因となるケースも増えています。

  • 【主な症状】主な症状は、以下のとおりです。
    • 神経・精神症状:頭痛、めまい、不眠、不安感、うつ状態
    • 呼吸器・感覚器:のどの痛み、咳、喘息、目のかすみ
    • 消化器症状:吐き気、腹痛、下痢
    • その他:強い倦怠感、手足の冷え、筋肉痛、関節痛
    • 微熱、頭痛、のどの痛み

住宅建材から、日常的なアイテムまで様々なものが引き金になることが多く、日常生活に大きな影響を与えます。

  • 【診断】
    化学物質過敏症の診断は、現在のところ除外診断によって行われます。つまり、症状を引き起こす他の疾患(アレルギー疾患、自律神経失調症、心身症など)を否定した上で、臨床症状と化学物質への曝露歴から総合的に判断されます。
    日本では2009年に厚生労働省の研究班が診断基準案を作成しましたが、まだ確立された診断基準はありません。また、客観的な検査法も確立されていないため、「証明できない」「気のせいでは」と言われることも少なくありません。確定診断のための国際的な単一の基準は確立されていません。
    一般的に以下の6つの条件が判断基準とされています。
    1. 症状の再現性:特定の化学物質に触れると、同じ症状が繰り返し現れること。
    2. 微量への反応:問題とならない程度の極めて少量の化学物質に反応すること。
    3. 多種類の化学物質への反応:関連性のない多種多様な化学物質に反応すること。
    4. 原因物質の除去による改善:原因となる物質を取り除くと症状が改善、または治癒すること。
    5. 慢性的状態:症状が慢性的であること。
    6. 多臓器にわたる症状:単一の器官だけでなく、全身の複数の器官に症状が現れること。

2.【重要】申請の壁「初診日の特定」と「受診状況等証明書」

化学物質過敏症は、初期診断名が他疾患であることが多く、初診日の特定が申請における最大の難所です。

多くのケースで、最初の受診時には、内科、産婦人科、心療内科などで「自律神経失調症」「更年期障害」「心身症」などと診断されます。そのため、初診の医療機関で「受診状況等証明書」を取得しようとしても、診療時に化学物質過敏症の疑いがなかった場合、「受診状況等証明書」の作成を拒否されるケースもあるようです。

このような場合、当時の記録(お薬手帳、日記、当時の診断書など)を辿り、症状の連続性(現在の化学物質過敏症とつながっていること)を論理的に証明する必要があります。

まずは、化学物質過敏症に関わると思われる症状で受診した医療機関を時系列で整理することが必要です。

初診日の特定にお困りでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

 2-1.初診日が及ぼす影響とは

初診日の特定が以下の事項に影響を及ぼす可能性があります。

  • 【納付要件】
    確定診断日において納付要件を満たしていなかったが、本来の初診日において納付要件を満たしていた場合、受給できる可能性があります。
  • 【年金の種類】
    たとえば、会社員として働いていた時に最初の症状で受診し、その後退職して国民年金に切り替わってから確定診断を受けた場合、確定診断日を初診日とすると、障害基礎年金の扱いとなり、3級程度の症状では受給できません。しかし、会社員時代の最初の受診日を初診日として認められれば、障害厚生年金の対象となり、3級で受給できる可能性があります。
    また、同じ2級と認定されてた場合、障害厚生年金の方が、受給金額が大きくなります。

 2-2. 申し立て初診日

上記のように「どの日が初診日か」によって、受給の可否や受給額が大きく変わる可能性があります。従来は「化学物質過敏症と確定診断された日」が初診日とされる傾向がありましたが、令和3年8月24日に厚生労働省が取扱いを明確化し、条件を満たせば確定診断前の受診日も初診日として認められるようになりました。これを「申し立て初診日」といいます。

◇「線維筋痛症等に係る障害年金の初診日の取扱いについて」はこちら>>>>をご覧ください。

 2-3.申し立て初診日の注意点

申し立て初診日が認められるには、いくつかの条件があります。

  • 申立初診日に係る医療機関が作成した診断書又は受診状況等証明書の記載内容から、申立初診日において、化学物質過敏症の症状と認められるものが記載されていること
    申立初診日に受診した医療機関が作成した「診断書」、「受診状況等証明書」に、化学物質過敏症の症状について診療を受けていたと記載されていること。
  • 化学物質過敏症の確定診断を行った医療機関が作成した診断書(確定診断に基づき他の医療機関が作成した診断書を含む)において申立初診日が化学物質過敏症のために初めて医師の診療を受けた日として記載されていること
  • 発症直後に確定診断が行われなかった理由に関する申立が行われていること
  • 具体的には、以下のすべてが満たされている必要があります。

    • 受診状況等証明書
      • ②傷病名欄:化学物質過敏症の症状と認められるものなどが記載されていること
      • ⑤発病から初診までの経緯欄:「化学物質過敏症の症状に関わる症状」などが記載されていること
    • 病歴・就労状況等申立書
      • 「申立初診日ごろに微量の化学物質で症状が出現した」などの発症のきっかけ、症状の連続性に関する記載があること
      • 「当初は、医師の診断は、専門医ではなかったため、的確な診断が行われなかった。」等の確定診断できなかったなど、確定診断に時間がかかった理由を記載
    • 診断書
      • ③欄の年月日欄:受診状況等証明書の⑥初診年月日と一致
      • 初診日以降に医療機関への未受診期間がある場合は、化学物質過敏症の症状が継続していた旨の記載

3.慢性疲労症候群の診断書

慢性疲労症候群の申請には、「血液・造血器・その他の障害用診断書」を使います。

独自の「照会様式」を診断書を記載した医師に記載してもらい、診断書と共に提出する必要があります。

◇「化学物質過敏症照会様式」はこちら>>>>をご覧ください。

 3-1.重症度分類PSの記載

診断書⑨「現在までの治療の内容、期間、経過、その他参考となる事項」欄に、次の旧厚生省研究班の重症度分類PS(=Performance status(パフォーマンス・ステータス))のいずれに該当しているか記載するされていることが必要です。

PS値 日常生活の状態目安 障害等級の目安
PS0 倦怠感がなく平常の社会(学校)生活ができ、制限を受けることなく行動可能。 受給対象外の可能性
PS1 通常の社会(学校)生活ができ、労働(勉強)も可能であるが、疲労感を感ずるときがしばしばある。
PS2 通常の社会(学校)生活ができ、労働(勉強)も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要。
PS3 全身倦怠感のため、月に数日は社会(学校)生活や労働(勉強)ができず、自宅にて休養が必要である。 受給対象外~3級相当の可能性
PS4 全身倦怠感のため、週に数日は社会(学校)生活や労働(勉強)ができず、自宅にて休養が必要である。
PS5 通常の社会(学校)生活や労働(勉強)は困難である。軽作業は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である。 3級相当の可能性
PS6 調子のよい日には軽作業は可能であるが週のうち50%以上は自宅にて休息が必要である。
PS7 身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会(学校)生活や軽労働(勉強)は不可能である。 2級相当の可能性
PS8 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している。
PS9 身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。 3級相当の可能性

 3-2.その他審査される事項の記載が重要

上記はあくまで目安であり、PS値だけで等級が決まるわけではありません。障害年金の審査では、以下の項目も総合的に判断されます。

  • 労働能力の喪失の程度
  • 日常生活能力(食事、排泄、入浴などの自立度)
  • 実際の就労状況(雇用形態や職場の環境整備など)

 3-3.「病歴・就労状況等申立書」との整合性

診断書に記載された「日常生活能力」や「現症時の就労状況」の内容が、「病歴・就労状況等申立書」の記載内容と乖離していないかを確認することが大切です。

4.まとめ

「化学物質過敏症」での障害年金申請は、留意すべき点がいくつも存在します。

当センターでは、初診日が不明確なケースの調査・証明サポートも行っています。
ぜひ一度、無料相談をご活用ください。

少しでも障害年金に該当する可能性があると思いになった方は専門家による障害年金受給診断チェックを申し込まれることをお勧めします。
障害年金受給診断は無料で行なっております。

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