脳出血・脳梗塞の障害年金申請
1.認定日の取り扱い
病気や障害の内容によっては、1年半を待つことなく、障害年金の申請が可能となります。
| 状態 | 認定日特例 |
| 人工透析 | 透析開始から3ヶ月を経過した日 |
| 心臓ペースメーカーや人工弁の装着 | 装着した日 |
| 手足の切断 | 切断した日 |
| 人工関節 | 挿入置換術を行った日 |
| 人工肛門(ストマ) | 造設した日から6ヶ月を経過した日 |
| 人工膀胱の造設 | 造設日 |
| 在宅酸素療法 | 療法開始日(常時使用) |
| 脳梗塞・脳出血などによる肢体障害 | 医師が症状固定と判断した場合: 初診日から6ヶ月以上経過した時点で診断書に記載された診察日 |
2.診断書の選択
「脳卒中」「脳梗塞」などの場合、半身麻痺などの障害が肢体や脳の機能や発音など多岐にわたる場合があります。
最も、障害の状態が顕著な「診断書」を選ぶ必要があります。「診断書」を選ぶことは、「認定基準」を選ぶことです。
申請において大変重要なポイントです。
例えば、一例をあげると、
・手足に半身まひが残った場合:「肢体の障害用」診断書
・高次脳機能障害となった場合:「精神の障害用」診断書
・失語症や構音障害となった場合:「言語の障害用」診断書
・摂食や嚥下障害となった場合:「言語の障害用」診断書
その他、めまい、視力・視野障害、うつ病、てんかんなど、症状に合わせた診断書の選定が大切です。
3.併合等障害認定
脳梗塞による肢体麻痺、言語障害、高次脳機能障害など複数の後遺症がある場合、それらを総合的に評価して上位等級(1級や2級)に認定される仕組みが「併合認定」です。
複数の障害を個別に等級判定したうえで、専用の認定表にあてはめて最終的な障害等級が決まります。
それぞれの障害が体に及ぼす全体的な影響が等級判定に反映されるため、ひとつの障害で申請するよりも高い障害等級に認定される可能性があるのです。
一例をあげると
- 肢体の障害 + 高次脳機能障害<
片麻痺(体の動き)と、記憶障害や意欲低下などの精神的な障害を合わせて請求 - 肢体の障害 + 言語障害(失語症など)
: 体の麻痺に加えて、言葉が出にくい・理解できない障害を合わせて請求 - 既存の障害 + 新たな脳梗塞
: すでに障害年金を受給している人が、再発により別の障害が加わった場合も併合の対象
併合認定に関してはこちら>>>>をご覧ください。
併合認定の仕組みは非常に複雑です。
専門知識のある社会保険労務士へのご相談をお勧めします。
その他、複数の障害がある場合に、
・総合認定
・加重認定
・差引認定 といった認定方法もあります。仕組みは非常に複雑です。
専門知識のある社会保険労務士へのご相談をお勧めします。
4.就労と障害年金
まずは結論からいうと、働きながらでももらえるかどうかは、障害の種類や雇用形態によって異なります。
障害年金法上は、働いて十分な収入がある場合でも受給を制限するような規定はありません。(ただし、20歳前障害は所得制限があります)
しかし実際は、就労中だと障害が軽度だと判断されて受給できない場合が、多くあります。その主な理由は、
(1)「障害の種類による障害認定基準の違い」
(2)「雇用形態の違い」
にあります。
【障害認定基準が明確なものは就労しても影響が小さい】
障害年金制度上の障害は、認定基準が検査数値などの客観的に判断できる情報のみで定められたものと、「日常生活に支障が出ているかどうか」というような曖昧な情報も含まれたものの2種類に分けられます。
- 視力・視野障害や聴覚障害、手足の障害
検査数値のみで認定基準が定められており、働けていても関係なく、数値基準を満たしていれば障害等級に対する就労の影響は少ないと考えられます。 - 等級が原則として決まっている障害
人工透析:2級 、人工関節:3級 、心臓移植や人工心臓:1級 、人工弁、心臓ペースメーカー、人工肛門:3級 など 原則として等級が決まっているものも、就労の影響は少ないと考えられます。
内科系疾患の認定基準は検査数値だけでなく、「日常生活に支障がでている」ことが認定の基準ですので支障が出ていないと見なされれば、いくら検査結果が重度であろうとも、年金が支給されません。
精神の障害は、そもそも目には見えない障害ですので、「日常生活に支障がでているかどうか」という観点のみで審査されてしまいます。
内科系疾患や精神の障害の場合、「働けているから支給しない」のではなく、「働けるくらい元気なら日常生活にも支障がでていないはず」と判断されるのです。
【雇用形態】
二つ目のポイントは、「雇用形態」です。
日常生活に支障がでているかどうかという曖昧な項目が認定基準に含まれている障害は、就労していれば障害状態が軽度であると見なされます。
就労が「一般雇用」の場合は、フルタイム勤務だけでなく、時短勤務や週1~2日だけのパートタイム勤務でも影響がでてしまうことが大半です。
ところが「障害者雇用」の場合は、配慮が必要な状態での就労ですから、働けるほど元気だと見なされず、問題なく障害年金を受給できることが多くあります。



