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障害年金と労災の給付の併給調整

障害年金の等級と労災の等級は対応していない

障害年金と労災が全く別の制度です。

  • 障害年金は日本年金機構が審査を行い給付します。
  • 労災は厚生労働省労働局が管轄し、審査・給付します。

それぞれの制度が別の基準で判定されており、その審査項目も障害年金と労災では異なっています。労災の等級が1~14級まであるのに対し、障害年金の1~3級となっており、それぞれの等級は対応しているものではありません。

そのため、労災で等級に認定されているからといって障害年金を受給できるわけではありません。
障害年金は、日本年金機構に別に申請をする必要があります。

障害年金と労災保険の障害(補償)等給付は併給できるものの、両方を満額もらえない(労災保険の金額が併給調整される)場合があります。

障害年金と労災給付の併給調整

併給調整されない場合

以下のケースでは併給調整を受けず、両方の制度から満額受給できます。

  • 異なる傷病に起因して障害(補償)等給付と障害年金の両方が支給されるケース
  • 労災保険で障害等級8〜14級に該当するケース(一時金の形式で給付を受ける場合)

併給調整される場合

以下の2点を満たしている場合、併給調整を受けます。

  • 同一の傷病に基づいて障害(補償)等給付と障害年金の両方が支給される
  • 労災保険で障害等級1〜7級に該当している(年金の形式で給付を受ける場合)

以下の掛け率で障害(補償)等給付が減額されます。

障害年金の種類 掛け率
障害厚生年金・障害基礎年金
(初診日に厚生年金に加入、障害年金の等級が2級以上の認定の場合)
0.73(27%減額)
障害厚生年金
(初診日に厚生年金加入、障害年金の等級が3級だった場合)
0.83(17%減額)
障害基礎年金
(初診日に国民年金加入、障害年金の等級が2級以上の場合)
0.88(12%減額)

注意するべき点

20歳前障害による障害基礎年金は支給停止になる

ただし、例外的に障害年金が支給停止になってしまうケースがあります。それが、20歳前障害による障害基礎年金と労災の障害補償年金を受給できる場合です。

20歳前障害による障害基礎年金とは、年金保険に加入できない20歳より前に初診日(病気やケガのために初めて病院に行った日)がある障害で障害基礎年金を受給しているケースです。

この場合に限っては、労災の給付が優先され、労災からの給付を受けると障害基礎年金が全額支給停止になってしまいます。

要注意!労災の一時金を受け取ると障害手当金はもらえない

障害厚生年金:初診日が「厚生年金」の方(2024年(令和6年)4月1日現在)

障害厚生年金の額は、厚生年金に加入していた期間の長短、給与の額(払っていた保険料の額)などで異なります。

  • 2級の障害厚生年金の報酬比例年金の計算は、老齢厚生年金と同じ計算をします。
  • 1級の障害厚生年金の報酬比例年金の額は、2級の1.25倍です。
  • 若くして障害を負ってしまい厚生年金の加入期間が短い方は年金額が低くなってしまうので、加入月数300カ月未満のときは、300カ月として計算します。
  • 3級の場合には、年金額が低くなりすぎないように最低保障額が設けられています。

1級 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(+配偶者がある場合は更に加算額)
2級 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(+配偶者がある場合は更に加算額)
3級 報報酬比例の年金額  (最低保障額:623,800円 月額:51,983円)
障害手当金
(一時金)
報酬比例の年金額×2年分 
(最低保障額 1,224,000円)

 ■配偶者の加算

配偶者の加算額 239,300円 

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