【50代男性<脳出血>2級】勤務先の格別の配慮により就労継続
男性:50代
傷病名:脳出血
決定した年金種類と等級:障害厚生年金2級
支給月から更新月までの支給総額:約1,140万円
ご相談に来た時の状況
5年前に会社で脳出血で倒れ救急搬送されたが、右半身麻痺となり、歩行も困難になった。その後、リハビリを継続したが、麻痺の症状が残った。
会社の配慮の下、何とか、職場復帰。
日常生活での不便が多い中、「就労を続けていても障害年金が支給されるか」当センターのホームページを見て相談に来られました。
就労と障害年金
まずは結論からいうと、働きながらでももらえるかどうかは、障害の種類や雇用形態によって異なります。
障害年金法上は、働いて十分な収入がある場合でも受給を制限するような規定はありません。(ただし、20歳前障害は所得制限があります)
しかし実際は、就労中だと障害が軽度だと判断されて受給できない場合が、多くあります。その主な理由は、
(1)「障害の種類による障害認定基準の違い」
(2)「雇用形態の違い」
にあります。
【障害認定基準が明確なものは就労しても影響が小さい】
障害年金制度上の障害は、認定基準が検査数値などの客観的に判断できる情報のみで定められたものと、「日常生活に支障が出ているかどうか」というような曖昧な情報も含まれたものの2種類に分けられます。
- 視力・視野障害や聴覚障害、手足の障害
検査数値のみで認定基準が定められており、働けていても関係なく、数値基準を満たしていれば障害等級に対する就労の影響は少ないと考えられます。 - 等級が原則として決まっている障害
人工透析:2級 、人工関節:3級 、心臓移植や人工心臓:1級 、人工弁、心臓ペースメーカー、人工肛門:3級 など 原則として等級が決まっているものも、就労の影響は少ないと考えられます。
内科系疾患の認定基準は検査数値だけでなく、「日常生活に支障がでている」ことが認定の基準ですので支障が出ていないと見なされれば、いくら検査結果が重度であろうとも、年金が支給されません。
精神の障害は、そもそも目には見えない障害ですので、「日常生活に支障がでているかどうか」という観点のみで審査されてしまいます。
内科系疾患や精神の障害の場合、「働けているから支給しない」のではなく、「働けるくらい元気なら日常生活にも支障がでていないはず」と判断されるのです。
【雇用形態】
二つ目のポイントは、「雇用形態」です。
日常生活に支障がでているかどうかという曖昧な項目が認定基準に含まれている障害は、就労していれば障害状態が軽度であると見なされます。
就労が「一般雇用」の場合は、フルタイム勤務だけでなく、時短勤務や週1~2日だけのパートタイム勤務でも影響がでてしまうことが大半です。
ところが「障害者雇用」の場合は、配慮が必要な状態での就労ですから、働けるほど元気だと見なされず、問題なく障害年金を受給できることが多くあります。
当センターによるサポート
まず、救急搬送された時から現在までの病歴、就労状況、日常生活状況を詳細に記述しました。
就労できている状況を具体的にしました。
【会社からの特段の配慮を受けていること】
・負担の軽い職種への配置転換
・バリアフリー環境の提供
・時差出勤
・同僚の協力体制
自宅もバリアフリーに改装され、手摺を設置されるなど、周囲の協力で生活を維持できていることなどを、病歴・就労状況等申立書に具体的に記述しました。 主治医にも状況をお伝えし、正確な診断書を作成して頂き、認定日まで遡及して受給することが出来ました。
結果
障害厚生年金2級の認定を得ることができました。
また、症状固定日を「認定日」と認められ、4年間の遡及請求も認められました。
「働いていると障害年金は貰えない」と聞いていたので、非常に不安だったとのことですが、今回このような結果が出て、本当に相談してよかったと喜んでいただきました。
本ケースは、「就労を継続しながら、障害年金を受給できた」ケースです。
悩んでいらっしゃいましたら、ご相談ください。



