【50代男性<右股関節機能全廃/人工股関節置換>3級】再審査請求で認められる
男性:50代
傷病名:右股関節機能全廃/人工股関節置換
決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級
審査請求・再審査請求
ご相談に来た時の状況
- 2歳時に先天性股関節脱臼の手術を受ける。
- その後健常者と同様の生活を送り就職。
- 23歳ごろ股関節に痛みが出現。営業活動で歩き回ったことが原因。
- 4歳時に人工股関節置換手術施行。身障手帳4級取得。
- その後も杖を利用するなどして、生活を続けてきた。
- 51歳時に痛みが急増し腰痛も出たため、再検査の後、再度人工関節置換手術を施行。
人工骨頭置換 人工関節置換の申請のポイント
障害年金における人工骨頭置換 人工関節置換の取り扱いは下記のとおりです。
- 【初診日の年金の種類】
人工骨頭置換 人工関節置換は「原則、障害厚生年金3級」の認定となります。
たとえ、両足に人工骨頭置換 人工関節置換となっても、障害厚生年金3級の認定です。
従って、初診日に厚生年金に加入していれば障害年金を受け取ることができますが、
・初診日に国民年金に加入している場合
・20歳未満で厚生年金に加入していない場合
・60歳以上65歳未満で厚生年金に加入していない場合など
人工関節を入れているというだけでは障害年金を受け取ることはできません。(※)
※両足に人工骨頭置換や人工関節を挿入し、かつ日常生活に大きな支障がある場合は、2級に該当する可能性があります。 - 【社会的治癒】
社会的治癒とは、障害の原因となった病気やけがの症状がいったん軽快し、長期間にわたり治療を必要とせず、通常の社会生活(仕事など)を送れていたと認められる場合に、その時点をもって一旦「治癒」したものとみなす考え方です。
この場合、寛解期間の後に症状が再発し、初めて医師の診察を受けた日を新たな初診日として取り扱います。 - 【人工関節と社会的治癒の関係】
人工関節と社会的治癒の関係- 元の疾患での初診日が古い場合:初めて股関節の痛みで受診したのが国民年金加入期間中(または20歳前)だったが、その後長期間のブランクがあり、厚生年金加入中に症状が悪化して再受診し、人工関節手術に至った場合など。
- メリット:再受診時が厚生年金加入期間中であれば、社会的治癒を援用することで、障害厚生年金の対象となり、障害基礎年金よりも手厚い保障を受けられる可能性があります。(障害等級3級も対象)
- デメリット:社会的治癒が認められなければ、元の初診日(国民年金加入期間中など)が適用され、障害基礎年金の対象となるため、障害等級2級以上でなければ受給できません。
- 【認定のポイント】
- 長期の治療中断:治療が不要な状態が長期間(一般的に5年以上が一つの目安とされることが多いですが、個別の状況によります)続いていることが必要です。
- 社会生活への復帰:その期間、通常の社会生活や就労ができていたかどうかが重要視されます。
- 再発との因果関係:治療中断後の再発が、中断前の傷病と同一であると認められる必要があります。
当センターによるサポート
- 23歳時を発病日として、事後重症で裁定請求しました。
発病日は出生日であり、厚年加入前であるとして不支給決定」の裁定でした。 - 審査請求しました。
却下(申請を受理して審査した結果、申請自体の基準に満たない判明した場合の処分)に処分変更する」との通知。
審査請求については申立ての発病日の証明ができないとして棄却。 - 再審査請求を行いました。
障害者手帳申請の際の診断書に記載されていた右股関節形成術施行の日付を発病日、初診日とするのが妥当と主張しました。(社会的治癒の主張)
結果
右股関節形成術施行の日付を発病日、初診日と認定されました。
加入月要件も認められ3級の受給が決定しました。
審査請求、再審査請求を行い、丸2年を要して受給に至りました。
本ケースのように、障害年金の申請において、初診日の特定はとても重要な要素となります。
困られていましたら、ご相談ください。



