【40代男性<知的障害/うつ病>2級】就職後に知的障害の診断
男性:40代
傷病名:知的障害・うつ病
決定した年金種類と等級:障害基礎年金2級
ご相談に来た時の状況
幼児期~高校時代まで、成績は悪く、又クラスメートにいじめられるようなこともあった。
本人も両親も障害とは思わなかった。おとなしく、温厚な性格で、周囲の人からも知的障害を指摘されなかった。
就職したが、仕事の覚えが悪く、周囲とのコミュニケーションの不調で、心療内科を受診。知的障害と診断され、療育手帳を取得。
現在も、ご自身では日常生活を送ることは困難で、ご家族のサポートが必要な状態。
「将来が心配」と、ご家族でご相談に見えました。
知的障害とその他の精神疾患が併存している場合の申請のポイント
【複数の病名がある場合の診断書】
- 「障害年金を請求する全ての傷病名及び該当するICD-10コードを記載」することになっており、複数の傷病名を記載できます。
- 「障害年金を請求するすべての傷病名を、主たる傷病名から順に、傷病名の冒頭に丸付き番号を①、②…と付して記載」してもらいます。
【知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱い】
平成23年6月30日付にて発出された、厚生労働省年金局長通知「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正について」において、 下表のとおり取り扱われることになりました。
| 前発疾患 | 後発疾病 | 同一疾病 |
| 発達障害 | うつ病 | 同一疾病 |
| 発達障害 | 神経症で精神病様態 | 同一疾病 |
| うつ病・統合失調症 | 発達障害 | 診断名の変更 |
| 知的障害(軽度) | 発達障害 | 同一疾病 |
| 知的障害 | うつ病 | 同一疾病 |
| 知的障害 | 神経症で精神病様態 | 別疾病 |
| 知的障害・発達障害 | 統合失調症 | 前発疾患の病態として出現している場合は同一疾患(確認が必要) |
| 知的障害・発達障害 | その他精神疾患 | 別疾病 |
【知的障害と他の障害が併存する場合の初診日】
知的障害が併存する場合、原則として、障害年金における知的障害の初診日は「出生日」となります。他の障害(精神疾患など)が併存する場合の初診日は、その障害の種類や経緯によって扱いが異なります。
<知的障害のみの場合>
- 初診日: 出生日
- 初診日証明:生まれつきの障害であるため、通常の「受診状況等証明書」などの、初診日を証明する書類は原則不要です。
- 対象年金: 20歳前の傷病による「障害基礎年金」の対象となります。
<他の障害が併存する場合①>
「知的障害」に加えて「うつ病」や「発達障害」などが併存する場合、原則として「出生日」が初診日となります。
<他の障害が併存する場合②>
厚生労働省の認定基準では、「知的障害」や「発達障害」がある人に後から「統合失調症」が発症することは極めて少ないとされているため、原則として知的障害と統合失調症は別の傷病として扱われます。 この場合、それぞれの傷病について、別個に初診日を証明する必要があります。
当センターによるサポート
軽度の知的障害とうつの症状が現れていました。
特に、軽度(IQがおおむね70以下)の方が申請する場合、下記の2点が審査の際、重要となります。
- 2不適応行動(ひきこもり、大声を出して暴れるなど、自分の行動をコントロールできずに周囲を困惑させたりする行動)等により、日常生活に著しい制限があること
- 知的障害と発達障害を併発している場合、知的障害による二次障害がある場合には、その症状や日常生活の状況など
ご家族から、丁寧に聞き取りを行った結果、「不適応行動(ひきこもり、大声を出して暴れるなど、自分の行動をコントロールできずに周囲を困惑させたりする行動)等により、日常生活に著しい制限があること」を具体例を示して、本人の日常生活状況を主治医に丁寧に説明しました。
診断書に反映していただき申請しました。
結果
障害基礎年金2級の認定を得ることができました。
結果に大変喜んで頂きました。
本ケースは、軽度知的障害と複数の精神疾患が併存しているケースでした。
また、申請の際、迷われることも多いケースです。
是非一度、ご相談ください。



