【50代女性<視神経脊髄炎(指定難病13)>就労しながら障害年金を受給
女性:50代
傷病名:視神経脊髄炎(指定難病13)
決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級
ご相談に来た時の状況
数年前突然背中に痛みを感じ始め徐々に痛みが激しくなり近くの整形外科クリニックを受診。原因が不明なまま、いくつか医療機関を受診し、入退院を繰り返した。
その後、紹介された総合病院で「視神経脊髄炎」と診断された。
リハビリを受けている間に障害年金の事を知り、「働いていても障害年金が受給できる可能性があるか」を確かめる為に来所され、受任となりました。
申請のポイント1:診断書の選択
「多発性硬化症(MS)」や「視神経脊髄炎(NMOSD)」の症状はどこに病変ができるかによって千差万別です。
- 視神経が障害されると視力が低下したり、視野が欠けたりします。この症状が出る前や出ている最中に目を動かすと目の奥に痛みを感じることがあります。
- 脳幹部が障害されると目を動かす神経が麻痺してものが二重に見えたり( 複視 )、目が揺れたり(眼振)、顔の感覚や運動が麻痺したり、ものが飲み込みにくくなったり、しゃべりにくくなったりします。
- 小脳が障害されるとまっすぐ歩けなくなり、ちょうどお酒に酔った様な歩き方になったり、手がふるえたりします。
- 大脳の病変では手足の感覚障害や運動障害の他、 認知機能 にも影響を与えることがあります。
- 脊髄が障害されると胸や腹の帯状のしびれ、ぴりぴりした痛み、手足のしびれや運動麻痺、尿失禁、排尿・排便障害などが起こります。
それぞれの障害の状況に合わせて、「診断書」を選ぶ必要があります。「診断書」を選ぶことは、「認定基準」を選ぶことです。
申請において大変重要なポイントです。
申請のポイント1:就労と障害年金
まずは結論からいうと、働きながらでももらえるかどうかは、障害の種類や雇用形態によって異なります。
原則として障害年金は、働いて十分な収入がある場合でも受給を制限するような決まりはありません。(ただし、20歳前障害は所得制限があります)
しかし実際は、就労中だと障害が軽度だと判断されて受給できない場合がよくあります。その主な理由は、
(1)「障害の種類による障害認定基準の違い」
(2)「雇用形態の違い」
にあります。
【障害認定基準が明確なものは就労しても影響が小さい】
障害年金制度上の障害は、認定基準が検査数値などの客観的に判断できる情報のみで定められたものと、「日常生活に支障が出ているかどうか」というような曖昧な情報も含まれたものの2種類に分けられます。
- 視力・視野障害や聴覚障害、手足の障害
検査数値のみで認定基準が定められており、働けていても関係なく、数値基準を満たしていれば障害等級に対する就労の影響は少ないと考えられます。 - 等級が原則として決まっている障害
人工透析:2級 、人工関節:3級 、心臓移植や人工心臓:1級 、人工弁、心臓ペースメーカー、人工肛門:3級 など 原則として等級が決まっているものも、就労の影響は少ないと考えられます。
内科系疾患の認定基準は検査数値だけでなく、「日常生活に支障がでている」ことも必要とされており、支障が出ていないと見なされれば、いくら検査結果が重度であろうとも考慮されません。
精神の障害は、そもそも目には見えない障害ですので、「日常生活に支障がでているかどうか」という観点のみで審査されてしまいます。
内科系疾患や精神の障害の場合、「働けているから支給しない」のではなく、「働けるくらい元気なら日常生活にも支障がでていないはず」と判断されるのです。
【雇用形態】
二つ目のポイントは、「雇用形態」です。
日常生活に支障がでているかどうかという曖昧な項目が認定基準に含まれている障害は、就労していれば障害状態が軽度であると見なされます。
就労が「一般雇用」の場合は、フルタイム勤務だけでなく、時短勤務や週1~2日だけのパートタイム勤務でも影響がでてしまうことが大半です。
ところが「障害者雇用」の場合は、配慮が必要な状態であり、働けるほど元気だと見なされず、問題なく障害年金を受給できることが多くあります。
当センターによるサポート
肢体の障害が顕著だったことから、難病の申請でよく使われる「その他の障害用診断書」ではなく、「肢体の障害用診断書」を書いて頂き、申請しました。
「肢体の障害用診断書」を選択したもう一つの理由は、「就労」です。理由は上記のとおりです。
肢体障害は障害の程度が客観的な数値(可動域、筋力、欠損の部位など)で判断されやすいため、就労状況が審査に与える影響は少ないのです。
しかし、それでも「日常生活や労働能力がどの程度制限されているか」が総合的に判断される可能性が全くないわけではないため、勤務先の配慮を「病歴・就労状況等申立書」の記載し、主治医にも診断書に記載していただきました。
結果
障害厚生年金3級の認定を得ることができました。
「働いていると障害年金は貰えない」と聞いていたので、非常に不安だったとのことですが、。今回このような結果が出て、本当に相談してよかったと喜んでいただきました。
本ケースは、適切な診断書を選ぶことで、受給につながったケースです。
困られていましたら、ご相談ください。



