【40代女性<知的障害/発達障害/うつ病>2級】大人になってから知的障害の診断
女性:40代
傷病名:知的障害・発達障害・うつ病
決定した年金種類と等級:障害基礎年金2級
ご相談に来た時の状況
幼少期のころも知的障害を指摘されなかった。
小・中学校、高校もなんとか普通学校を卒業。
約2年前に体重の激減により生命の危険を感じて、医療機関を受診。
アルバイト先で仕事がいつまでたっても憶えられない、ミスが多い等で怒られ、うつ状態となったことが直接の原因だった。
この医療機関で、軽度の知的障害・発達障害であったことが判明。
お母さまが知的障害で障害年金の請求をしたが、不支給。
現在も、ご自身では日常生活を送ることは困難で、お母様のサポートが必要な状態。
お母さまも70歳になられ、「娘の将来が心配」とご相談に見えました。
知的障害とその他の精神疾患が併存している場合の申請のポイント
【知的障害のみでの申請の落とし穴】
知的障害のみでの申請は一度ご自分で請求して、不支給となった場合、まず障害年金は無理と思ってください。
障害年金の生涯受給予想額 4000~6000万円がかかってくる大勝負です。
慎重に進めることが大切です。知的障害での障害年金申請は1発勝負です。
【複数の病名がある場合の診断書】
- 「障害年金を請求する全ての傷病名及び該当するICD-10コードを記載」することになっており、複数の傷病名を記載できます。
- 「障害年金を請求するすべての傷病名を、主たる傷病名から順に、傷病名の冒頭に丸付き番号を①、②…と付して記載」してもらいます。
【知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱い】
平成23年6月30日付にて発出された、厚生労働省年金局長通知「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正について」において、 下表のとおり取り扱われることになりました。
| 前発疾患 | 後発疾病 | 同一疾病 |
| 発達障害 | うつ病 | 同一疾病 |
| 発達障害 | 神経症で精神病様態 | 同一疾病 |
| うつ病・統合失調症 | 発達障害 | 診断名の変更 |
| 知的障害(軽度) | 発達障害 | 同一疾病 |
| 知的障害 | うつ病 | 同一疾病 |
| 知的障害 | 神経症で精神病様態 | 別疾病 |
| 知的障害・発達障害 | 統合失調症 | 前発疾患の病態として出現している場合は同一疾患(確認が必要) |
| 知的障害・発達障害 | その他精神疾患 | 別疾病 |
【知的障害と他の障害が併存する場合の初診日】
知的障害が併存する場合、原則として、障害年金における知的障害の初診日は「出生日」となります。他の障害(精神疾患など)が併存する場合の初診日は、その障害の種類や経緯によって扱いが異なります。
<知的障害のみの場合>
- 初診日: 出生日
- 初診日証明:生まれつきの障害であるため、通常の「受診状況等証明書」などの、初診日を証明する書類は原則不要です。
- 対象年金: 20歳前の傷病による「障害基礎年金」の対象となります。
<他の障害が併存する場合①>
「知的障害」に加えて「うつ病」や「発達障害」などが併存する場合、原則として「出生日」が初診日となります。
<他の障害が併存する場合②>
厚生労働省の認定基準では、「知的障害」や「発達障害」がある人に後から「統合失調症」が発症することは極めて少ないとされているため、原則として知的障害と統合失調症は別の傷病として扱われます。 この場合、それぞれの傷病について、別個に初診日を証明する必要があります。
当センターによるサポート
ご相談者の場合、いろいろお話をお伺いすると、「うつ病」と診断されている事が判りました。
- 軽度知的障害(IQがおおむね70以下)を基礎に抑うつ状態が遷延
- うつ病の症状が酷く、就労不能な状態となっており、日常生活にも多くの制限があり、もっぱら母親に頼っている状況
障害年金を受給できる可能性は高いと判断しました。
ご相談者さまは、「うつ病」の初診日では、年金の納付要件を満たしていませんでした。
厚生労働省の障害年金ガイドラインに 「知的障害と診断された人が、後からうつ病が発症した場合、知的障害が起因して発症したという考え方が一般的であることから同一疾病とする」とされており、「初診日は出生日となり、納付要件は問われない」と定められています。
そこで、「発達障害」「うつ病」「知的障害」の3つの傷病名で申請しました。 不適応行動(ひきこもり、大声を出して暴れるなど、自分の行動をコントロールできずに周囲を困惑させたりする行動)等により、日常生活に著しい制限があることを記載して頂きました。
結果
障害基礎年金2級の認定を得ることができました。
一度不支給になっているので、不安が強かったとのことですが、結果に大変喜んで頂きました。「最初から依頼すべきだった」とおっしゃってくださいました。
本ケースは、軽度知的障害と複数の精神疾患が併存しているケースでした。
また、申請の際、迷われることも多いケースです。
是非一度、ご相談ください。



