【30代男性<右手関節切断>3級】勤務中の事故
男性:30代
傷病名:右手関節切断
決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級
ご相談に来た時の状況
2年程前、勤務していた製造工場で作業中に右手関節切断。
緊急再接着術、断端形成術を受けるも手指運動は改善しなかった。
字を書くこと、箸を持つこともできず、右上肢全ての指の機能全廃とされ、障害者手帳3級が交付された。
その後退職。労災の障害補償年金7級の受給権を得た。
労災年金と厚生年金の調整
労災による傷病を原因として身体に障害が残る場合、労災保険からは障害(補償)等給付、公的年金制度からは障害年金を受給できる可能性があります。
【障害(補償)等給付の等級】
労災保険の障害(補償)等給付においては、障害等級が14等級まで設けられており、1〜7級までは障害(補償)等年金を、8〜14級までは障害(補償)等一時金をそれぞれ受給できます。
【併給調整の仕組み】
基本的に障害年金は満額受給できますが、障害(補償)等級は調整を受けて減額されることがあります。
<両方の制度から満額受給できる場合>
- 異なる傷病に起因して障害(補償)等給付と障害年金の両方が支給されるケース
- 労災保険で障害等級8〜14級(一時金)に該当するケース(一時金の形式で給付を受ける場合)
<併給調整される場合>
併給調整を受けるのは以下の2点を満たしている場合に限られます。
- 同一の傷病に基づいて障害(補償)等給付と障害年金の両方が支給される
- 労災保険で障害等級1〜7級に該当している(年金の形式で給付を受ける場合)
労災保険制度において障害等級1〜7級に該当する場合、以下の掛け率で障害(補償)等給付が減額されます。
| 障害年金の種類 | 掛け率 |
| 障害基礎年金と障害厚生年金を受給している場合 | 0.75 |
| 障害厚生年金のみを受給している場合 | 0.83 |
| 障害基礎年金のみを受給している場合 | 0.88 |
当センターによるサポート
切断された右手は複数回の手術を経て接合され、くすり指、小指は可動するので、3級相当と判断しました。
しかし、事故当時はアルバイトだったので、障害基礎年金請求の道しかなく、それでは障害年金は支給されないことになります。
そこで、勤務していた会社と「厚生年金加入に関して」交渉することになりました。
勤務状況等を確認するにと、アルバイトで3ヶ月以上の勤務経過しており、その職場では通常正規雇用となり、社会保険付保されていた筈であることが判明しました。
当方より会社側に厚年加入時期の訂正をお願いするとともに手続き方法を調べて連絡。
差額保険料負担も含め会社側が了解し手続きを行いってくれることになりました。
厚年加入期間中の事故として請求できました。
結果
障害厚生年金3級が決定しました。。
障害基礎年金として請求していたら不支給となっていたと思われます。
本ケースは、会社側に厚生年金の加入を交渉したケースです。
手数を惜しまず厚年加入時期の訂正を勤務先事業所に申し入れ、勤務先事業所が手続きを行って頂けたことが、大きな成果を生みました。
それが可能となったのはご本人が会社との間にしっかりとした信頼関係を築いけていたことだと思います。



